検査工程の自動化とトレーサビリティ向上

背景|現場に残り続けていた“人でやるしかない工程”


ある製造ラインでは、長年「人がやる前提」で残り続けていた工程がいくつかありました。

  • 成形工程でのインサート部品投入
  • 複数面を磨く研磨工程
  • 品質確認のための検査工程

いずれも理由は明確でした。
自動化が難しい、機械化しても見合わない、止まると困る。

結果として、工程ごとに人手対応が積み重なり、

  • 作業負荷が高い
  • 生産性に限界がある
  • 品質保証が人の判断に依存する

といった課題を抱える状態になっていました。

課題①|インサート投入は「自動化できない工程」だった圧入工程

射出成形工程でのインサート投入は、

  • 部品が小さい
  • 点数が多い
  • 姿勢や位置決めがシビア

といった条件が重なり、人手作業として残りがちな工程です。

単純にロボットを入れても、
供給が止まる、姿勢が安定しない、トラブルが頻発する──
そうした理由から、「人がやるしかない工程」とされていました。

課題②|研磨工程が生産性のボトルネックになっていた

別の工程では、鉄ブロックなどの研磨作業に多くの時間を要していました。

複数面を順番に磨く必要があり、
1点あたり数時間を要する作業が、工程全体の足かせになっていました。

品質は確保できているものの、

  • 作業者の負担が大きい
  • 工数が読みにくい
  • 生産量を増やしづらい

といった問題がありました。

課題③|検査工程が“最後の人頼み”になっていた

さらに検査工程では、通常は抜き取り検査、
問題が起きると全数検査に切り替える運用が行われていました。

特に、軸の振れなどの測定は難易度が高く、
人手では負担が大きい工程でした。

  • 判断が作業者に依存する
  • 記録の残し方が統一されにくい
  • 品質保証の説明がしづらい

といった課題を抱えていました。

アプローチ|工程ごとに「自動で成立する形」を設計

今回の取り組みでは、
それぞれの工程を単独で改善するのではなく、
「人が頑張らなくても成立する工程」を一つずつ設計していきました。

インサート投入工程


部品供給・整列・姿勢決め・投入を工程として分解し、
止まりにくい流れを前提に自動化を設計。

研磨工程

作業改善ではなく、治具・保持方法・加工順を含めて工程を機械化。
人の作業を前提にしない加工フローを構築。

検査工程

測定動作を自動化し、結果を記録として残せる仕組みを構築。
全数検査にも対応できる工程設計としました。

成果|省人化・生産性・品質保証が同時に改善

工程を整理し直した結果、

  • インサート投入は人手を減らし、安定稼働が可能に
  • 研磨工程は大幅に時間短縮され、生産性が向上
  • 検査工程は自動化され、品質保証と記録性が向上

といった成果が得られました。

単に作業を減らしたのではなく、
生産量・品質・説明責任のバランスが取れた工程構成になっています。

このSTORYでお伝えしたいこと

省人化、生産性向上、品質保証は、
それぞれ別のテーマに見えますが、根本は共通しています。

それは、
人の判断や作業に依存しない工程を、設計として成立させること。

私たちは、
現場で「難しい」「仕方ない」とされてきた工程を分解し、
自動で回る前提で再構成することで、工程全体の最適化を行っています。

守秘義務について

本事例は、取引先情報・製品仕様を含むため、写真や詳細条件は非公開としています。
ただし、課題の捉え方・工程設計の考え方・自動化の進め方については、
匿名・概略ベースでご紹介しています。