品質のばらつきと人手依存。2つの課題を、工程設計から立て直した話
背景|現場で起きていた2つの問題。
ある製造現場では、異なる工程でありながら、共通する悩みを抱えていました。
ひとつは、圧入(カシメ)工程における仕上がり高さのばらつき。
もうひとつは、加工工程における人手に依存したワーク脱着作業です。
どちらの工程も、日々の生産は成り立っていました。
しかしその裏側では、
- 設備のクセを前提に、人が条件を微調整している
- 人が張り付くことで、設備の稼働が人の都合に左右される
といった状態が常態化していました。
課題①|品質が“人の感覚”に委ねられていた圧入工程
圧入工程では、仕上がり高さが安定せず、品質にばらつきが発生していました。
本来は「一定の基準品質を作るために設備を整える」べきところ、
現場では設備のクセに合わせて製品条件を調整する運用が続いていました。
この状態が続くと、
- 品質が作業者の感覚に依存しやすくなる
- 条件調整が増え、生産が不安定になる
- 基準が曖昧になり、再発防止が難しくなる
といった問題につながります。
現地で設備を確認したところ、
回転テーブルの剛性不足により、加圧時にベースがわずかにたわみ、
力が下側へ逃げる構造になっていることが分かりました。
課題②|人が付き添う前提で成り立っていた加工工程
一方、加工工程では、旋盤やマシニングセンターのワーク脱着を
人が行う運用が長く続いていました。
作業自体は難しくありませんが、
- 加工終了のたびに人が必要
- 作業タイミング次第で設備が止まる
- 人員配置や夜間稼働に制約が生じる
といった形で、生産性や稼働計画に影響を与えていました。
「自動化したい」という要望はありましたが、
ワーク形状・把持姿勢・干渉リスクなどの問題が重なり、
人手工程として残り続けていたのです。
アプローチ|共通して見直したのは“工程の前提”
2つの工程に共通していたのは、
人や条件調整で成り立たせる前提でした。
圧入工程では、
- 下側にバックアップ(受け)ブロックを設け
- たわみを抑える構造へ変更
- 圧入条件を再設計
することで、設備側が品質基準を担保できる構造へ立て直しました。
加工工程では、
- どこで掴むか
- どの姿勢で受け渡すか
- どの順序なら止まらないか
といった観点で脱着作業を分解し、
ロボット・治具・設備配置を含めて工程全体を再設計しました。
いずれも共通していたのは、
「人が頑張る前提」から「設備と工程で成立させる前提」への切り替えです。
成果|安定した品質と、計画どおりに回るラインへ
構造・工程を見直した結果、
- 圧入工程では、仕上がり高さのばらつきが解消
- 条件調整に頼らない、再現性のある品質管理を実現
- 加工工程では、脱着作業が自動化され、設備の待ち時間が減少
- 人の都合に左右されない、安定した稼働が可能に
といった成果が得られました。
品質と生産性の両面で、
「なぜ安定するのか」を説明できる工程へと整理されています。
このSTORYでお伝えしたいこと
品質のばらつきや省人化の課題は、
個別の作業や条件だけを見ていても解決できません。
重要なのは、
設備・構造・工程を含めて、前提そのものを見直すこと。
私たちは、現場で起きている現象を起点に、
再現性と安定性を軸とした工程設計を行っています。
守秘義務について
本事例は、取引先情報・製品仕様を含むため、写真や詳細条件は非公開としています。
ただし、課題の捉え方・原因特定の考え方・工程設計のアプローチについては、
匿名・概略ベースでご紹介しています。
